相続放棄をした方がよいケース

文責:弁護士 井川 卓磨

最終更新日:2024年03月28日

1 どのような場合に相続放棄をするべきか

 相続放棄は、相続開始後に相続権を放棄することをいいます。

 相続放棄を行うと、相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったものとみなされ(民法第939条)、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も承継しなくても良いことになります。

 それでは、どのような場合に相続放棄をするべきなのでしょうか。

2 プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合

 相続放棄をすると、プラスの財産を承継することができなくなりますが、一方で、被相続人が生前に負っていた借金等のマイナスの財産も承継しなくても良いことになります。

 また、被相続人が不動産を所有しており、その不動産の管理に費用が掛かってしまう場合も、相続放棄をすればその不動産を承継しなくて良いことになります。

 このようにプラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄をするべきものといえます。

3 被相続人との関係が希薄だった場合

 被相続人と関係が希薄であり、相続人が被相続人の遺産に関心がない場合があります。

 また、被相続人と生前に仲が悪く、被相続人の財産を承継することに否定的な感情を持つ相続人もいらっしゃるでしょう。

 そのような場合は、財産のプラスやマイナスといった計算上の理由ではなく、感情的な理由で相続放棄をするべき場合に当たります。

4 相続トラブルに巻き込まれたくない場合

 被相続人との仲が良好であったとしても、相続人同士の仲が必ずしも良好ではなく、相続をするとなると、遺産の分割方法等をめぐってトラブルになることが予想されるケースがあります。

 そのような相続トラブルを避けたい場合、他の相続人と関わりたくない場合には、相続放棄をするべきケースに当たります。

 相続人である限り、相続手続き等で関りが必要となることもありますので、相続放棄により初めから相続人ではなかったものとみなされれば、関わらなくて済むようになります。

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